完全不定期! おっさんのつれづれ草

名もなく 地位なく 姿なき おっさんの繰り言

覚えていますか、バントホームラン

どうも、おっさんです。

バントホームラン。

この言葉にピンときたあなた。私と同様、おっさんと呼ばれる世代ですね。

 

これは1987年にジャレコより発売されたファミコンの野球ゲーム、燃えろ!!プロ野球、通称燃えプロで起きるトンデモ現象のことです。

ゲーム中の強打者はバントしただけで、目が覚めるような弾丸ライナーのホームランを連発するというもの。YSCLUBの…面倒なので変換しますが、ヤクルトのホーナー、阪神のバース、ロッテの落合らがこのバントホームランを打つことができました。

 

当時、ファミコンの野球ゲームといえばナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)のファミスタことファミリースタジアムが定番でした。この牙城に立ち向かうべく登場した燃えプロ、まずゲーム画面が画期的でしたね。

バックネットからセンター方向への視点だったファミスタに対し、燃えプロはセンターからバックネットというテレビの野球中継さながら。ゲーム雑誌でこれを見たファミコンキッズたちは「なんてリアルなんだ!」と大興奮したものです。

 

当然、発売日にはファミコンショップに大行列。私も直行したのですが残念ながら売り切れで手に入れることができませんでした。

 

現在のゲームソフトと違ってファミコンカセットは製造に時間がかかるため、次の入荷まで数週間は待たなければなりません。

あーあ、と大変がっかりしていた私に数日後、幸運にも買うことができた同級生から声がかかりました。

「どうも自分には合わないみたいだ。安くするから買わないか?」

「買う買う!」

と即決。

帰宅後、ワクワクしながらファミコンを起動したものです。

 

さて実際にプレイしてみるとこの燃えプロ、一言でいうと「ムチャクチャ」。

バントホームラン以外にも、ストライクやボールの判定がデタラメ。その上、ファールやヒットを問わず、バットにボールが当たった次のボールはどこに投げてもストライクという謎仕様。つまり2ストライク目をファールで取ったら三振確定。

また、なぜか阪神の八木だけ異常に足が速く、鈍足のランナーがいるときに長打を打つと前のランナーを追い越してしまう。現実にこれをやると追い越したランナーはアウトなのに、何事もなかったようにゲームが進行する。

外野グラウンドがとにかく広く、守備に慣れないうちはすべてランニングホームランになる…などなど。

 

いいところももちろんあります。

「ストライク」「ボール」などのコールが実際に音声でされるのは、今では当たり前ですが当時としては画期的でしたね。ただし、無死満塁で三振したら「アホ」と言われるのはやりすぎだと思いますが(笑)。

またホームランや代打などの演出も凝っていて、「ファミスタとは違うものを作るんだ!」という意気込みは伝わってきました。

 

しかし、こうした演出も何度も見るとくどいだけ。かえって試合のテンポが悪くなってしまい、1試合にかかる時間はファミスタの倍以上だったと記憶しています。

一緒に遊んだ友人からは

「ごめん。ファミスタのほうがおもしろい…」

と恐縮しながら言われてしまいました。

 

こうしてみると、くだんの同級生はうまく損切りし、私はハズレをつかまされてしまったのでしょうか。

私はそうは思わないんですよ。

なぜなら、燃えプロはこのハチャメチャゆえに強烈なインパクトを残していて、我々の世代では今でも共通の体験として語り継がれています。

何十年も経った今でも、会ったばかりの人と

「昔、燃えプロってあったじゃん。ひどかったよなー、あれ」

「そうそう、バントホームランなんて初めて見たときには目が点になったよ」

と盛り上がれるんですね。

これもリアルタイムで体験していればこそです。

 

だからなんでも流行に飛びつくのがいい、とは言いませんが、その世代における共通体験を持っているというのも時にはいいものですね。